平成の和気清麻呂は国民自身


諸君3月号の田中(卓)論文を読んでみました.
専門外なので氏の引用した史料等の妥当性については何も言えませんが,ロジックは明らかに結論ありきのこじつけの類でした.しかも,何故悪いと逆ギレ?
その結論とは”愛子内親王を女帝にすること”です.

前半から中盤にかけて長々と女帝の正当性を述べているわりには,肝心の女系の正当性については後の方にほんの少し,それも,とても女系反対派を納得させうるものではありませんでした.
はっきり云って,その道で権威とされるお方の論とは思えません.
詳細な批判等は”毒吐き@てっく”さんのサイトで展開されるようですので書きません(まぁ 書けませんが).



以下の点のみ検証しようと思います.

  1. 「”我が国の象徴である天皇の地位の安定的継承”を維持するためには,先ず愛子内親王を念頭に是非を検討するのが第一の課題ではないか」と仰ってますが,筆者は順序が逆だと思います.愛子内親王天皇にしたいがために,わざわざ”安定的”継承としたんではないですかね.本来ならば,皇統を絶やさない工夫を包括的に論議することが必要なはずです.そうであるならば当然,”愛子内親王の女帝”課題と”旧宮家皇籍復帰”課題の間にプライオリティはなく等価なものになるはずです.やはり,”結論ありきで何が悪い”は単なる逆ギレ以外の何者でもありません.
  1. 田中氏の言われる女帝の正当性については誰も異論はないんですが(飽くまで理論的整合性のこと),それを批判を交えながらとうとうと書いておられる.その中で,有識者会議メンバーの選考基準について,一応レフトな人間に対する危惧も書かれてはいます.しかし,有識者会議の問題はイデオロギーの振り幅ではなく,一方的な結論しかもたない若しくはもたせないという選考側の意図にあることを誤魔化している.本当に公平な選考なら女系を危惧する識者を入れるべきなのに,明らかにそれは避けていますよね(小堀桂一郎氏,渡部昇一氏.藤岡信勝氏,中西輝政氏等々の論客がおられる).
  1. 万世一系の意について,田中氏は「神武天皇の建国以来,皇族の籍を有せられる一系の天子が,千数百年にわたって,一貫した統治者であり,他系の権力者が帝位を簒奪した例がないという,世界にも類をみない歴史の事実にあるのであって,皇統が”男系”とか”女系”という血統のせいではない」と仰ってます.確かに原初的な定義としては,全くその通りだと思います.ですが,その高貴なる一系は,まさに男系によって渡り継がれてきたものだという実存的定義を無視しています.これは明らかに詭弁に類するものだと思います.
  1. 女系の正当性について,「女系男子(例として愛子内親王の御子とする)であっても,後に即位せられて天皇となり,娶られた皇妃との間に男の御子が生まれて,そのお方が皇位につかれると,この系統は母方(愛子内親王)にあたる女帝の血をうけられているので,古来からの皇族の継承とみて,皇統は再び男系にかえると考えてもよい」と述べられています.これに至っては誤魔化し以前の問題で,新たに”小和田朝”を創れと言ってるようなものではないでしょうか.要は愛子内親王天照大神にしようとしていることになりますよね.これでは何のために先人が必死になって万世一系を護ってきたのか分からなくなります.”再び男系にかえる”という言葉はどういう意味で使ったのか,全くもって不明です.


注:筆者は愛子内親王に対して何の悪意もありません.皇統の正当性のみを判断基準にしているだけです.


女系推進派は理屈では明らかに不利になっているとはいえ,当の小泉首相は今日のNHKニュースで「内閣を通して出した法案には党議拘束をかける」と明言しました.完全にやる気です.

政府が今国会の法案提出・成立を目指す皇室典範改正案について、2日に開かれた自民党各派の総会で慎重な対応を求める意見が相次いだ。一方、首相の出身派閥の森派では幹部が成立に向けて協力するよう求める意見が出た。
 高村正彦元外相は高村派総会のあいさつで「天皇制は日本の歴史・伝統・文化の中枢にあり、男系で継承されてきた。大改革するには国民的な議論が必要で、今国会への改正案提出は慎重であってもらいたい」と述べた。
 伊吹派の例会では、島村宜伸農林水産相伊吹文明会長、河村建夫文部科学相ら派閥幹部がそろって「より慎重に議論されるべきだ」と表明。谷垣派総会でも「これまでの構造改革のように簡単にはできない」「党議拘束をかけるべきでない」との意見が出た。 一方、森派では森前首相が「改正案は我々(森派)の仲間の細田博之官房長官(当時、現国会対策委員長)がまとめたということを頭におくべきだ」と強調。1日の改正反対集会に同派の一部議員が出席したことを念頭に、「そういう集会に出るなと言っているのではないが、立場をわきまえてしっかり行動してほしい」と述べ、内閣の方針に協力するよう促した。
 新人議員もこの日、皇室典範の勉強会を開催。約25人が出席した。そのうちの一人が「首相、武部勤幹事長に『国民の理解を得るために慎重に議論すべきだ』と申し入れよう」と提案、約15人が賛同したという。


森さんは事実上,言論弾圧に入っているようですが,上のような良識ある議員の皆さんに期待するしかないでしょう.それを後押しするのは国民世論しかありません.
郵政の時とは明らかに違います.
平成の和気清麻呂は国民自身です.



↑日本の伝統と日本人としての誇りを破壊する↑
皇室典範の改悪に強く反対します(万世一系HPにとびます).


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