Entanglement(縺れ)

  1. 拉致問題解決向け「経済制裁は手段」 蓮池透さん講演 東藻琴

【東藻琴】北朝鮮による拉致被害者家族会副代表の蓮池透さん(50)は十日夜、網走管内東藻琴村で講演し、「今の家族会や支援組織は経済制裁と言っているが、それは手段であって目的ではない」と述べ、外交手法の転換を訴えた。
蓮池さんは家族会が「生存」と「死亡・不明」とされた家族とで意見が割れていることに複雑な心中を明かした上で、「経済制裁に政府が慎重になっているのに『やれ』と言うのは反政府の圧力団体と変わりない」と指摘した。その上で、蓮池さんは「(北朝鮮の)日本への興味は経済援助。それを逆手に取り、『ちゃんと(拉致問題を)やらない限り経済援助できない』と言うのは十分な圧力になる」などと語った。

筆者のいる世界ではエンタングルメント(絡み合い)というタームは結構便利な言葉で,”セグメント間のエンタングルメントのため,モレキュラーモビリティ(分子運動性)が制限される”といった感じである実験結果の原因がよく分からない場合,しばしばその犯人役になってもらっている(それなりの理由はあるんだけどね).ところが,この言葉が人間関係に使われると,宜しくないことが多い.しかし,生ずる結果は科学的意味と同じで,モビリティの拘束に繋がってしまうのが困りもん.
拉致問題に対する政府の対応において,支援者・賛同者間の意見対立はあの5.22以来,事あるごとに再燃している.これが支援者間の純粋な論争なら良いのだが,支援者面をして家族会の先鋭化を詰る工作員まがいの馬鹿者がいるので質が悪い.この問題が原因かどうかは分からないが,よく読ませていただいたakiさんやlogさんがブログをやめてしまわれたのは残念だった.こうした対立は,拉致問題に対するアプローチを人道問題,国家主権問題のどちらに重きを置くかによって,為されてきたのではないかと思っている.無論,どちらかが何%なんて問題ではないのだが,そこに個人のイデオロギーが介入してくるのは仕方がないことだろう.
この支援者間の縺れは,拉致問題に対するネット言論(広くは世論)の一致性を大きく制限してしまった.支援運動を結果的に制限し,仲違いさせて一番ほくそ笑んでいるのは他でもないあの金正日だ.これは避けなければならない.
蓮池さんと増元さんの意見対立(主張を聞いた限りの筆者の感想)も,上記と似たような縺れを生んでいるような気がする.こちらは当事者で,しかも家族が帰ってきたものと未だ帰国が叶わぬものという大きな違いがあるので問題は余計に深刻だ.思うに,増元さん(家族会)だって,経済制裁が手段であることくらい十分ご承知のはず.真意は現実的に経済制裁をする,しないではなく,政府がどの程度の覚悟を持って対応しているのかが見えてこない事への苛立ちにあるのだと思う.少なくとも,小泉首相北朝鮮に対し,もっと怒るべきだと思う.これは感情的な怒りではない.国家として,正当で当たり前の怒りだ.家族会はこの強い意志表示を政府に望んでおられるのだと思う.蓮池さんには是非このことを考慮していただきたいが,或いは逆にそれをご存じの上で,家族会意見の中和を行っておられるのかもしれない.
何れにしても,拉致問題の解決を望む方々はもっと柔軟になって,仲違いしないようにエネルギーを建設的な方向に照射しましょうよ.


明後日から,ちょっくら出張ですので,更新は21日以降になります.